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子供の科学 - 2008年11月号の「つくってあそぼう」に物申す [電子工作]このエントリーを含むはてなブックマーク#

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子供の科学 - 作って遊ぼうに物申すに続くの第二弾は、2008年11月号の「ターンブルー」です。 この作品は、バイナリ・カウンタ 74HC4060 に CR をつけて発振器を構成して、 LED をピカピカさせる、実にシンプルな構成です。

電流値を計算する

この記事の優れたところは、 LED に流す電流値をきっちり計算しているところです。 電源には、乾電池3本を使い4.5Vの電圧を供給します。 そして、順方向電圧降下 (Vf) と流したい電流値から電流制限抵抗の値を決めます。 赤と黄の LED の Vf は、 2.0V @ I=20mA で計算し、マージンをみて 150Ω の抵抗を使用します。 一方、緑・青・白の LED の Vf は、 3.5V @ I=20mA で計算し、マージンをみて 100Ω の抵抗を使用します。

えっ? 何で緑の Vf が青と一緒なんですか?

問題点1:絶対最大定格

この作品では、74HC4060の 10 個の Q 出力に二つずつの LED を接続し、 Q 出力の状態により二つの LED のいずれかが点灯する仕組みになっています。 つまり、各 Q 出力は、常に設計値 20mA の電流を出すか引くかしていることになります。 そのため、全ての Q 出力が電流を出した場合、 74HC4060 の VCC 端子には 20mA×10=200mA の電流が流れ込む計算になります。

一方、東芝セミコンダクター社のデータシートを見たところ、 VCC 端子および GND 端子に流れる電流の絶対最大定格は、 ±50mA となっています。 設計値が絶対最大定格の実に 4 倍になっています。 逆レーティング? これでは、電源を投入したとたんに 74hC4060 が破壊・焼損したって、文句は言えないはずです。

問題点2:緑色LEDの順方向電圧降下

これも東芝セミコンダクター社のデータシートを調べましたが、一般的な緑色 LED の順方向電圧降下は、赤や黄と同じ、 2.0V @ I=20mA 程度でした。 このため、緑色 LED に流れる電流は、設計値よりも大きくなるはずです。

どこかのメーカで 3.5V @ I=20mA の 緑色LED というのを作っているのでしょうか?

問題点3:パスコンがありません

この回路には、電源ラインに一切のパスコンがありません。 発振器が動いているのに、LEDがスイッチングするのに、パスコン無しです。 発振しないのかな? すでに発振器が発振しているからという理由ではありませんよね。

作ってみた

本当のところ、どうなんだろうか。 IC が、焦げたりするのかな? と、実際に作ってみました。 ただし、手持ちに青・白 LED が無かったため、赤・黄と緑を使った「ターングリーン」となりました。

私、そんなに流せません

Ni-MH 電池四本からなる 4.8V の電源で動作させながら、電流制限抵抗での電圧降下から緑 LED に流れる電流を測定しました。 その結果、 19mA という結果が得られました。 また、各部の電圧を測定した結果、LED での電圧降下が 2.1V 、電流制限抵抗での電圧降下が 1.9V 、残りの 0.8V は、 VCC と Q 出力の間の電圧降下でした。 つまり、出力抵抗換算で 42Ω という計算になります。 そもそも、こんなに流すべき石ではないのでしょう。

KokaTurnBlue1.png

この状態での Q 出力ひとつあたりの内部損失は、 0.8V×19mA=15.2mW です。 十本の Q 出力でこの内部損失が発生したとすると、パッケージ全体では、 15.2mW×10=152mW の損失になります。 絶対最大定格の許容損失は、 500mW なので、こちらはまだ余裕がある方です。

消費電流

動作状態の消費電流を測定したところ、 130mA という値が得られました。 設計段階での 200mA よりも少ない値ですね。 これは、 Q 出力での電圧降下のおかげで、 LED に流れる電流が少なくなったためです。 まさに、怪我の功名。

けっこう、壊れないね

この絶対最大定格を越えた状態で通電したまま放置してみました。 しかし、電池切れで LED が暗くなる以外は、 74HC4060 は、元気に動いている様子。 あっという間に壊れちゃうかと思っていたのに、意外とお強いのね。

参考文献・関連文献

子供の科学 2008年 11月号 [雑誌]

子供の科学 2008年 11月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 雑誌
世界一簡単なLEDのきほん―ゼロから理解する

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  • 作者: 伊藤 尚未
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 単行本
電子工作大図鑑―作ってきたえて能力アップ!

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  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2006/06
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コメント 5

k_t

いや~壊れそうな設計は、いけませんね。けしからんです。
それとも今後はこういう設計ができないと生き残れないのかな・・・。
ところで緑色のLEDは、最近は 3.6V くらいの物が結構多いです。従来の Green に対して Pure Green と呼ばれたりします。
秋月でも何種類か置いてあります。超高輝度緑色というのをチェックしてみてください。

by k_t (2008-11-18 20:47) 

noritan

本当だ、秋月の緑色LEDの主流は、3.6V になっている。
おそらく、材質が違っているからなのだろうと、資料を探しましたが、メーカーさんの資料には材質が明記されていません。秘密なのかな?

by noritan (2008-11-18 22:26) 

Sim

wikiを見てみると、純緑って青色LEDより後に開発されたみたいですね。GaNを使ってるんだとか。

by Sim (2008-11-23 00:04) 

♪まりいちご♪

私もつくってみました!!!
子供の科学愛読者ですw
ターンブルー、すごくきれいにできました♪
私はこの記事の説明や細かいしくみが分からず(初心者なものでw)今調べていたところです。
ちょうどこのブログにあたり、記事に書かれているものも私がつくったものと同じだ!というわけで訪問してみました(*'∀`)p○ミピーンポーン
お邪魔しました。
by ♪まりいちご♪ (2009-08-10 18:22) 

noritan

♪まりいちご♪さん、いらっしゃいませ。

私も「子供の科学」愛読者です。ただし、ここ十年ほどですけど。

「作ってあそぼう」シリーズには、技術屋から見ると危険じゃないかと思われる回路が時々見受けられるのですが、簡単な回路で遊べる装置を作るというアイディアを毎度提供してくれることには脱帽します。

別の作品を作ってみたら紹介しますので、そのときは、またおいでくださいませ。

by noritan (2009-08-11 11:42) 

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