SSブログ

MBR3 で、静電容量センサの実験 (2) [PSoC]このエントリーを含むはてなブックマーク#

MBR3102 実験基板

MBR3 で作った静電容量ボタンは、静電容量センサに触れたときに ON/OFF します。 センサの感度をもっと高くすると、近づいただけで ON/OFF できる「近接センサ」に利用できます。

MBR3 を近接センサに設定する

近接センサの数を設定する

近接センサの実験をするために、新しいプロジェクトを作成しました。 ここでは、 "Design002" というプロジェクトを作成しています。

静電容量センサを近接センサ (Proximity sensor) として使用するには、 EZ-Click 2.0 の "CapSense sensor configuration" タブで、設定をおこないます。 まず、 "Number of proximity sensors" で、近接センサに使用する静電容量センサの数を "1" に設定します。


静電容量センサの設定

すると、 "Proximity sensors" セクションが現れます。 このタブで、以下の設定を行います。

  1. "Proximity sensors" セクションの "Pin" カラムを "CS0/PS0" に設定します。
  2. "Sensor" カラムのセンサ名を "BTN0" に変更します。
  3. "Buttons" セクションの "CS1/PS1/GPO0/SH" で "Enable" カラムをチェックします。
  4. 同じく "Sensor" カラムのセンサ名を "BTN1" に変更します。

他の部分は、デフォルトのままにしておきます。 前回と同様に "Save Project" でプロジェクトを保存し、 "Select Target Device" で接続相手を探し、 "Apply Current Configuration" で設定を書き込みます。 これで、 "BTN0" が近接センサとして、 "BTN1" が静電容量ボタンとして動作するようになります。

近接センサの動作を確認する

近接センサの動作

近接センサの動作は、前回と同様に "CapSense output" タブで確認する事ができます。 "Button" に "BTN0" を選択すると、近接センサの動作が現れます。 指を近づけると、センサが反応を始め、5センチメートルの距離で "Button status" が "Proximity" に変化して接近を検出したことを知らせます。 さらに指を近づけて、静電容量センサに触れると、 "Button status" は "On" に変化します。

静電容量ボタンとの違いについて

静電容量ボタンの動作

近接センサも静電容量ボタンと同じように静電容量の変化をとらえて、接近を検出しています。 それでは、静電容量ボタンと近接センサの違いは、どこにあるのでしょうか。 比較するために、 "BTN1" の動作もグラフにしてみました。

  1. Base line の値が大きい

    静電容量ボタンの Base line は、約1530です。 これに対して近接センサの Base line は、約52660です。 つまり、30倍以上の違いがある事がわかります。

  2. Raw count の振れ幅が大きい

    静電容量ボタンに触れた時、 Raw count は300ほど高くなります。 これに対して、近接センサに触れた時、 Raw count は5000ほど高くなります。

これらの差は、静電容量センサのいわゆる「感度」による違いです。 「感度」は、単位容量に対する Raw count の差として定義されます。 近接センサの感度が30倍高いので、指を触れていない時の静電容量の Raw count も30倍大きくなっています。 結果として、 Base line が30倍大きな値になったというわけです。

振れ幅の差も「感度」が影響したものです。 指が触れた時に増加する静電容量に対する Raw count の増分も感度が高くなれば大きくなります。 近接センサは、 Raw count の振れ幅が大きいことで、近接状態の検知と接触状態の検知を行う事ができます。

アプリケーションで使うには

近接センサの状態を一般的なアプリケーションで利用する場合も、 I2C インターフェイスを介してレジスタにアクセスし、状態を知ることができます。 具体的には、アドレス 0xAE の下位1ビットが "BTN0" 近接センサの状態を示しています。

参考文献

CY3280-MBR3 CapSense® MBR3 Evaluation Kit

MBR3 の具体的な使い方は、このキットに関連した文書として提供されています。 特に "CY3280-MBR3 User Guide" が、キットを使わない場合でも役に立ちます。

CY8CMBR3102, CY8CMBR3106S, CY8CMBR3108, CY8CMBR3110, CY8CMBR3116 CapSense® Express™ Controllers Registers TRM

I2C でアクセス可能なレジスタが解説されています。 MBR3 では、ここで記述されているレジスタに対するアクセスによって、すべての動作を規定しています。

CY8CMBR3xxx CapSense® Design Guide

この記事では、被覆導線を利用して実験を行うための簡易ボタンを作成しました。 本格的に静電容量ボタンを使いたい場合には、この文書を参照して作成します。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0)  このエントリーを含むはてなブックマーク#

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。