MC9S08QE8を使ってみる [HCS08]
最近発表されたMC9S08QE8のサンプル提供が始まりましたので、さっそく入手しました。
MC9S08QE8の特徴
MC9S08QE8という品番から、MC9S08QE128のメモリ縮小版と思われるかもしれません。 ところが、MC9S08QE8のピン数は、LQFPでも32ピンと大幅に少なくなっています。 そのため、メモリだけが縮小されたのではなく、一部機能も縮小されています。
MC9S08QE8の売りは低消費電力なのだそうです。 まあ、これだけ機能が削られると低消費電力にはなるでしょう。 今回使ってみた16PDIPパッケージの場合、MC9S08QG8からほとんど変化がないような。
ピン配置は、MC9S08QG8と互換
逆に言うと、MC9S08QE8CPGとMC9S08QG8CPBEは、どちらも16PDIPパッケージで、パッケージ互換であると言えるかもしれません。 この二つのマイコンの差は、外からの見た目では、タイマチャネルが追加されたことぐらいでしょうか。
というわけで、DEMO9S08QG8評価ボードにMC9S08QECPGを挿して、使ってみることにしました。
DEMO9S08QG8評価ボード
この評価ボードには、光センサとLEDが搭載されています。 そこで、以前、この機能を使って作った 三値デジタル太陽計 の移植を試みました。 結果は、「そのまま動きました。」 とくに、この作品は、 Processor Expert を使ってプログラムが構成されているので、特に変更する箇所もありませんでした。 プロジェクトは、これをTaiyoKeiQE8.zipという名前で保存すると解凍できます。
MC9S08QG8とピン互換で使えることはわかりましたが、それだけでは、このチップを使う意味があるようには思えません。 何か、画期的な機能が隠れていないだろうか。
DEMO9S08QG8は5Vで使えるか (1) [HCS08]
DEMO9S08QG8を5Vで使うのは怖い
MC9S08JM60というUSBインターフェースを持ったHCS08マイコンが出ています。 HCS08なので、他のHCS08と同じようにDEMO9S08QG8で接続することが出来るか、と思っていたのですが、USB対応ということで5Vの電源が供給されています。 従って、DEMO9S08QG8をつなぐには躊躇しておりました。
アプリケーション・ノート発見
そんな折も折、以下のようなアプリケーション・ノートが公開されました。
もともとは、デバッガとターゲットの電源を電気的に切り離す目的で作られたものですが、異なる電源レベル間でのインターフェースも出来るはずです。 さっそく、仕組みを解析しました。
フォト・カプラは、持ち合わせておりません
手持ち部品には、フォト・カプラがありませんでした。 もともと、絶縁を目的とはしていないで、別の回路として組みなおしてみました。 回路図は、電源電圧以外、左右対称になっています。
フォト・カプラの代わりをしているのが、Q1/Q4トランジスタです。 Q3がONするとQ4もONし、Q1がターゲット側のバスを引き落とします。 バスのモデルとして、1000pFの容量をバスにつないだところ、シミュレーションでは見事に発振しました。 発振を止めるために入れたのが、C4です。
シミュレータさんにお願い
シミュレーションにかけたところ、V(host)に細いグリッチが出ることがわかりました。 これは、ホスト・ターゲット双方がバスを引いている状態から、ホスト側がバスのプルダウンを解除した場合です。 プルダウンがはずれた拍子にV(host)が上昇し、それに気が付いたターゲット側の回路がQ2で引き落とすのですが、間に合わなかったようです。
グリッチを小さくするために、Q4の負荷R3/R7が非常に重くなっています。 苦心した結果、グリッチの幅を数マイクロ秒に抑えましたが、果たして、BDMは受け入れてくれるだろうか。
ハードウェア編に続く
MC9S08LC60 - 液晶パネルを駆動してみた [HCS08]
USBに疲れたので、しばし休息。
液晶と言ってもモジュールではありません。 駆動装置の全く付いていない液晶パネルです。
参考までに、 マイコンは MC6809 では、ありません。
液晶ドライバ付きマイコン MC9S08LCxx
MC9S08LCxxは、液晶パネルを駆動する能力のあるマイコンです。 マイコンの表示装置というと、LCDモジュールと呼ばれる駆動装置つきの部品が使われたりします。 駆動装置が付いているので、結構消費電力を減らせません。 このマイコンは、液晶ドライバも内蔵しているため、余分な消費電力を抑えることができます。 何よりも、必要の無い時には表示そのものを止めることだって出来ます。
外付け部品が少ない
このサンプルアプリケーションの特徴は、外付け部品が少ないということです。 写真には、電源部の電解コンデンサぐらいしか写っていません。 良く見ると変換基板上にチップコンデンサが3つ搭載されているのがわかると思います。 ユニバーサル基板の裏面には、LCDの電源を作るためのチャージポンプ用チップコンデンサが4つ並んでいます。 外付け部品は、それだけです。
液晶を駆動するためのクロックは、マイコンの内蔵発振器が作ります。 LCDの1/3バイアス駆動電圧は、マイコンの内蔵チャージポンプが外付けコンデンサを使って作ります。 このように、マイコン内部で必要な電圧や信号を作り出しているので、外付け部品を減らすことが出来ます。
液晶パネルについて
このマイコンは、出力波形のデューティーを STATIC, 1/2, 1/3, 1/4 から選ぶことが出来ます。 このアプリケーションで使用したダイセン電子のLCDP61は、 1/3 デューティーで動作しています。
また、このマイコンは、フロント・プレーン(FP)を最大40まで駆動することが出来ます。 このパネルのフロント・プレーンは、20しかありませんので、余裕で駆動できます。
この工作の主目的
このアプリケーションには、アプリケーションを作る以外にも目的があります。 それは、 MC9S08LC60 が、 DEMO9S08QG8 の内蔵 MULTILINK でデバッグできるかを確認することです。 結果は、みごとにデバッグに使用可能であることが確認されました。
さあ、これで一歩前進だ。
MC9S08QA4の研究 [HCS08]
新しいMCU、MC9S08QA4をサンプル入手したので、調べてみました。
DEMO9S08QG8評価ボードを使う
MC9S08QA4CPAEは、ピン配置がMC9S08QG4CPAEと同じです。 このため、写真のようにDEMO9S08QG8に搭載するとそのまま使うことが出来ます。
レジスタの確認
MC9S08QG8のレジスタマップと見比べながら、 デバッガでレジスタの有無を確認しました。
- $0002-$0003 PTBD/PTBDD
PORT-B関連レジスタがあります。
- $0020-$0027 SCI関連レジスタ
レジスタがあります。 データシートと見比べたところ、SCIのように見えます。 ただ、8ピンパッケージには、ポートが出せないので、事実上使えないでしょう。
- $0028-$002D SPI関連レジスタ
レジスタがあります。 データシートと見比べたところ、SPIのように見えます。 ただ、8ピンパッケージには、ポートが出せないので、事実上使えないでしょう。
- $0030-$0034 IIC関連レジスタ
レジスタがあります。 データシートと見比べたところ、IICのように見えます。 8ピンパッケージでも、ポートを出すことができるので、 使えるのかもしれません。
- $1804
QGxのデータシートにも記述のない領域ですが、何かあります。 リセット後の値は、$12で、 $00を書き込んだら、$10が返ってきて、 $FFを書き込んだら、$17が返ってきました。
- $1806-$1807 SDID
デバイスの識別子が入っています。 $6009が返ってきました。 下12ビットの$009は、QGxと同じ値です。
- $1844-$1846 PTBPE/PTBSE/PTBDS
PORT-B関連のレジスタが見えています。 ということは、16ピンのQA4というのもあるのか?
以上のように、MC9S08QG4と同じ内容であるように見えました。 違いは、DBGモジュールの有無だけではないかと思います。
以上の結果から、MC9S08QG4の16ピンパッケージ用ダイを 8ピンパッケージに入れたものがMC9S08QA4なのではないかと思ってしまいます。 何か、QA4特有の存在価値があるかも知れないのですが、 ただ、本当の所は、不明です。